フロとメシってこんなに大変なの!

dinner 思い出

京王線のアパートはへき地

何とか希望の大学に入れたので、次の仕事はひとりで住むアパート探し。山手線内側は大学のある四ツ谷に近いのですが、家賃が高いので、都心の外側に延びる私鉄に目を向けました。

新宿に乗り入れる京王線の千歳烏山に高校時代の友人が住んでいたので、その近くを探したのですが、私のようなボンビー大学生にとって、そのあたりの家賃はまだまだ高い。そこで2駅先のつつじヶ丘の不動産屋を訪ねたところ、ようやく安い家賃のアパート(六畳一間で小さな台所付き)を見つけることができました。

そのアパートは東つつじヶ丘の静かな住宅街にありましたが、駅から歩いて20分といういわばへき地でした。それでも格安の家賃は捨てがたく(確か1万円しなかったと思う)、そのアパートに決めました(便所はまだくみ取り式だった)。アパートでのひとり暮らしは生まれて初めての経験でしたが、とにかくそこでの生活をスタートさせました。

フロとメシは死活問題

しかし、住み始めて分かった決定的な不便さは、フロとメシでした。まずはフロについてですが、アパートの近くには2軒の銭湯がありましたが、いずれも歩いて15分以上、しかもどちらも正反対の方向でした。そのどちらにも行ったのですが、決定的に嫌だったのはいつも混んでいたこと(特に夕方から夜にかけて)。何とか洗い場を確保して体を洗っていると、うしろに2~3人が行列して私が洗い終わるのを待っているのです。これには本当に参りました。

フロに行く時間を前後にずらしてもこうした状況は変わらず、フロ付きのアパートや自宅に住んでいる人を本当にうらやましく思ったものです(しかし、地方出身者でそんなアパートに住んでいる大学生などは、自分の周りにはだれもいなかった)。

メシを求めてさまよう

こうしたフロの不便さに加え、メシもまた悩みの種でしたね。東つつじヶ丘周辺は住宅街なので食べ物屋はほとんどなく、線路の反対側の西つつじヶ丘方面に行ってみました。

しかし、ビックリしたのは、ここでも定食屋のようなまともな食べ物屋が1軒もないこと。仕方がないので、食料を買うために駅近くの忠実屋というスーパー(のちにダイエーに吸収合併された)に入ったところ、総菜(そうざい)などのパックはすべてファミリー向け。

残された選択肢は、食材を買って自炊することですが、ここでもまた大きな問題が。ご飯は電気釜で簡単に炊けるのですが、おかずを作る狭い台所には小さなガスコンロはあるのですが、換気扇や換気口がありません。においや油の煙などは部屋を通って窓から出すしかありません。そうすると、机に積んであった小説などの本はすべてベタベタに。これにも参りました。

小さなメシ屋は命綱

こうした苦労を3~4年したあとに、ひとつの銭湯近くに小さなメシ屋ができたときは心から喜び、命が救われる思いでした。最初は週に2~3回、そのうち毎日通って、まずはビール(大瓶)とつまみ(アサリのバター焼きなど)、締めにご飯・みそ汁+漬物(大根・キュウリ・カブの浅漬けなど)+納豆などの食事を繰り返し、いつも1500~2000円ぐらい使っていました。

私にとっても経営者(若夫婦2人)にとってもウィンウィンでしたが、いつもカネにはピーピーしていました。つまり、大学を卒業して就職しても、給与のほとんどはメシとサケに消えていったのです。それでも、これでメシの問題は何とか解決したのですが、フロの苦労はまだまだ続くのでした。

次回へ続く

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