伝統的な食べ物には日本人の知恵がたくさん

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日本人の知恵がつまった伝統的な食べ物

伝統とは、昔からその土地に残された良い習慣のことです。そして伝統的な食べ物とは、その土地に一番よく合った食べ物のことだといえます。長い間にその土地の人が食べ続けて、「なるほどこれはいい」という、いわば一種の人体実験されたものが伝統的な食べ物となっています。日本の伝統的な食べ物としては、みそ、しょうゆなどの基本的なものをはじめ、たくあん、梅干しなどがあります。

例えば、たくあん。米のご飯を食べる私たち日本人は、ご飯を消化するための分解酵素を必要とします。それを一番たくさん持っている野菜が大根です。ところが、同じ大根でも冬の大根と夏の大根では性質が違い、冬の大根のほうにその力があります。だから、冬にとれた大根を年中食べられるようにしたのがたくあんです。

もっとおもしろいのが、ゴボウです。ゴボウは昔から日本のどの地方に行っても、おいしく調理され食べられてきたものです。食べ物とは単に栄養をとるという役割だけでなく、ゴボウにはもっと大切なものがあります。例えば、ゴボウのきんぴらを食べると、おなかを通るときに胃壁や腸壁についた食べ物のカスやコレステロール、または体内の毒物などを掃除しながら体外に出してくれます。こうしたゴボウの大きな働きを、昔から私たち日本人は知っていたのです。

みそやしょうゆもすばらしい伝統食

このほか、日本にはみそとしょうゆという、これまたすばらしい伝統的な調味料があります。みそやしょうゆは大豆、米、麦、そして塩が原料です。大豆はそのまま煮て食べるととても消化に悪い。これを麹菌(こうじきん)で分解して醸成(じょうせい)すると、とても消化・吸収のよいみそ・しょうゆになります。

こうしたみそ・しょうゆは、大豆に含まれている貴重なタンパク質、脂肪または無機質を吸収しやすい姿に変えたものです。だから私たち日本人は毎朝、みそ汁を一杯飲み、しょうゆで野菜などを料理して食べれば、タンパク質や脂肪の不足も起こりません。ただ、ここで注意しなければならないのは、そこで使われる原料が塩化ナトリウムという化学薬品のような食塩ではなく、自然塩でなければなりません。

きれいな血液をつくることが健康への第一歩

正食の考え方のひとつに、「汚血(おけつ)と浄血(じょうけつ)」ということがあります。どういうことかと言えば、私たちが食べたものはすべて胃や腸で分解・吸収され、血液となって体じゅうをめぐっていきます。つまり、正しい自然な食べ物をとっていると、その血液の質はとてもきれいな力のあるものとなりますが、不自然な悪い食べ物をとったときは、汚れた力の弱い血液がつくられてしまいます。

その汚れた血液が体じゅうをめぐると、細胞が汚れ、心臓や肝臓もおかしくなって、体のあちこちに障害が出てきます。これがすべての病気の原因です。だから、きれいな血液をつくってさえいれば、病気になることはないというのが正食の基本的な考え方です。

人間という生命体は、体と心の両面が正しい食事によってはじめて健全に発達・維持されます。これは生命の法則です。また、人間の社会には生活感情というものがあり、それが人間の情緒性とよばれるものです。

しかし、自然にはこうした情緒性はまったく存在しません。自然の姿を感受する人間の心が情緒を生み出すのですが、自然にはこうした感情とか情緒というものがまったくありません。太陽は東から上って西に落ちます。昼の次には夜が来ますし、冬が過ぎれば春がやってきます。

宇宙の法則を映している食べ物のルール

自然のこうしたルールと同じように、私たち人間も良いものを食べれば、必ず良い姿になります。悪いものを食えば、必ず悪い結果が出てきます。動があれば、必ずその反動があります。このように、人間を含めた自然界に存在するのは宇宙の法則だけです。

ちなみに、わが家の朝食はかなりシンプルです。6~8分づきのご飯、海草たっぷりのみそ汁、大根おろし、目玉焼き(有精卵)、漬物、これだけです。みそ汁を具体的に説明すると、干しわかめとふのり、いろいろな乾燥具の入ったみそ汁の具に熱いお湯を注ぎ、最後に「日本海みそ」で好みの味にします。この朝食を毎日食べています。飽きないかって、まったく飽きないですよ。

私たち日本人が長年にわたって培(つちか)ってきた食生活や生活習慣には、合理的で安全性に裏打ちされた数多くの知恵が存在します。私たちが健康であり続けるために、こうした伝統的な知恵を十分にかみしめて食材を選びましょう。

次回へ続く

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