かなり複雑な農地の相続税評価

evaluation-of-agricultural-land 相続

農地の評価の例

これまでに示したのは宅地の相続税評価の例で、それらの土地については何とか自分で評価額を算出することができた。しかし、以下に示すのは複雑な農地のひとつのケースで、こうした土地については自分のレベルではまったく歯が立たず、専門家にお任せした。

3.農地C(田)のケース
地目:市街地周辺農地
面積:1516㎡(460坪)
間口:54m
奥行:116m
道路までの距離:70m
採用する路線価:1.7万円(1㎡当たり)

この土地は農地であり、また無道路地でもあったので、多くの補正率を適用したうえ、造成費用も差し引かなければならないため、自力での評価は完全にお手上げで、税務署の専門家に算出してもらった。具体的には、奥行補正・不整形地補正・間口狭小補正に加えて、無道路地の補正も適用したうえ、造成費用も控除した結果、最終的な相続税評価額は約60万円となった(その計算式はあまりにも複雑なので省略する)。

無道路地とは

無道路地(宅地の場合)を評価するには、一般には公道まで幅2mの道路があると仮定したうえ、奥行価格補正・不整形地補正など、いくつかの細かい補正率を計算して評価額を計算するのでかなり複雑であり、土地評価に詳しい専門の税理士などに相談したほうがよい。

ところで、無道路地とは一般に道路に接していない土地と考えられているが、正確には「建物が建てられない土地」または「既存の建物の建て替えができない」土地をいう。また、建築基準法では「建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならない」と定めているが、その土地が2m以上接していても、その道路が「建築基準法上の道路(幅員が4m以上の道路)」でなければ、接道義務を満たしていることにはならない。

つまり、接道義務を満たすとは「幅4m以上の道路に2m以上接している」ということである。都市部ではこうした無道路地でもそれなりの相続税評価額になるため、利用するのが難しいこうした土地をどのように生かすのかが大きな課題となる。

税務署の専門家による評価

以上のように、土地はその形状、状態、地目などに応じて複雑多岐にわたり、その評価も難しいので、特に市街地の農地などの相続税評価は専門家に相談するのが無難であろう。筆者も宅地の相続税評価は何とか自分でやったが、相続した農地(田)はいずれも宅地に準じる市街地周辺農地であるが、路線価のある道路からかなり離れた無道路地だったので、自分で評価額を算出するのは無理だった。そこで税務署の担当者にお願いしたところ、何人かの専門家が現地を調査し、公図と照らし合わせて相続税評価額を算出してくれたので本当に助かった。

税務署との接し方

ところで、一般に税務署とはできるだけ多くの税金を徴収するための機関というイメージがあり(実際そういう面もある)、私もそのように思い込んでいた。しかし、今回の相続手続きのために何十回も税務署に足を運び、担当者にいろいろと質問したが、かなり親切に答えてくれた。ただし、こちらから出す質問には丁寧に返答するが、向こうからのアドバイスなどはまったくないので、かなり勉強して対応しないととても太刀打ちはできないと痛感したものである。

次回へ続く

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