株式のファンダメンタルズ&テクニカル分析の出版翻訳

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株式投資分野の4つのカテゴリー

さていよいよP社の出版翻訳に取り組む覚悟はできたが、その前にやるべきことがたくさんあった。P社は当初こそ商品先物相場の専門書もかなり出版していたが(私も何冊か翻訳した)、一般投資家にあまりなじみがなかったためか、次第に株式投資の関連書に出版の焦点を移していった。

株式投資の関連書をカテゴリー別に大ざっぱに分類すると、次のようになる。

  1. ファンダメンタルズ分析
  2. テクニカル分析
  3. メンタルマネジメント
  4. 波動の分析

最初の「ファンダメンタルズ分析」とは、企業の業績・財務・資産のほか、企業やその株式の価値などの分析である。次の「テクニカル分析」とは、移動平均線をはじめとするトレンドフォロー系指標とMACDなどのオシレーター系指標の分析。

三番目の「メンタルマネジメント」とは、株式投資の勝率を上げるには、マーケットに対する投資心理をうまくコントロールすることが必要であるという考え方である。四番目の「波動の分析」とは、エリオット波動に代表される株価のトレンドの分析。

ファンダメンタルズ分析書の翻訳に向けた準備

私も最初は、株式のファンダメンタルズ分析書の翻訳を依頼された。しかし、実際に翻訳に取りかかる前に、ファンダメンタルズ分析に関する用語辞典や専門書を取りそろえて勉強しなければ、手に負えないことは明らかだった。

具体的には、金融・会計・証券用語・英文財務諸表・金融先物・企業価値など関する用語辞典や専門書である。これらをそろえるお金を惜しんではならないと自分に言い聞かせ、まずは10冊ほどをアマゾンに注文した。

こうしてファンダメンタルズ分析の勉強と並行しながら、実際に翻訳に取りかかったが、最初は本当に未知の世界に足を踏み入れた気分だった。数十年にわたる株式投資の経験から、この出版翻訳も何とかなるだろうなどという希望的観測は粉々に打ち砕かれ、「こりゃー、一(いち)から勉強しなければダメだな」と痛感したものだ。

株式の財務分析の翻訳書が初出版

それでも、P社の編集長の叱咤激励(しったげきれい)もあり(今回も叱咤のほうが多かった)、最初に翻訳したやや薄い財務分析の株式関連書が出版されたときはうれしかった。

その表紙に訳者である自分の名前が掲載されているのを見たときは、大げさに言えば、出版翻訳の醍醐味(だいごみ)を味わった気分だった。この最初のファンダメンタルズ分析の株式関連書に続いて、テクニカル分析書の翻訳も手がけていった。

ところで、私自身は何十年にもわたって株式投資を続けてきたが、じぶん的には「チャーチスト」を自称していた。チャーチストとは株価の動きをグラフ化した罫線(けいせん)を分析し、そこから株価が将来どちらの方向に動くのかを予想する人と定義される。

しかし、私としてはそんなご立派な定義などどうでもよく、とにかくチャートを見て株式の短期売買をしていたので、自分をチャーチストだと考えていたにすぎない。

私としては株価のテクニカル分析にはかなりの興味があり、多くの関連書を読み漁ってきたので、アメリカで出版されたそうした書籍を翻訳するのはおもしろかった。

生き残るテクニカル分析の翻訳書

私自身が手がけたファンダメンタルズ分析の翻訳書は今では本屋の店頭から消えてしまったが、テクニカル分析の翻訳書はまだ何冊も店頭に並んでいる。それで上京するたびに大手書店の株式コーナーに向かい、自分が翻訳したテクニカル分析の投資本が棚に並んでいるのを見るのが常となった。

ところで、私はよくP社のA編集長に対して、次のように主張してきた。

  1. ファンダメンタルズ分析書は時間の経過とともにその内容が腐ってしまうが、テクニカル分析書はそういうことがなく、末永く読まれる
  2. したがって、株式の出版翻訳は波動を含むテクニカル分析書にシフトすべきである

こうした私の意見に対して、A編集長の考えは違っていたが、大手書店の株式コーナーを訪れるたびに、私の考えが現実に裏付けられているように思えてくる。

次回へ続く

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