相続される土地は複雑な財産

Lands-are-complex-heritage 相続

多岐にわたる相続財産

遺産は現金や預貯金、土地や建物などの不動産をはじめ、株式や公社債などの有価証券、生命保険金など多岐にわたる。それらの相続評価額は、大ざっぱに次のようになっている。

  1. 現金・預貯金-被相続人の亡くなった日(相続開始の日)の金額
  2. 上場株式-相続開始日の終値、またはその月・前月・前々月の終値平均のうちの最も低い価格
  3. 非上場株式-取引相場のない株式なので評価は難しく、専門家に相談したほうがよい
  4. 公社債(債券)-種類が多く複雑であるが、基本的には相続開始日に解約して現金化したときの評価額
  5. 建物-毎年役所から送られてくる「固定資産税の納付通知書」に記載されている固定資産税の評価額
  6. 生命保険金(死亡保険金)-「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があり、この金額までは相続税の対象にならない

いろいろな土地の複雑な評価

これらの財産の評価額はわりと客観的に算出できるが、土地の評価は複雑である。その理由は、土地は登記簿謄本に記載されている地目(ちもく)に応じて、宅地・田・畑・山林・雑種地などとかなり種類が多いうえに、それぞれの形状や状態(がけや傾斜がある、道路に面していない-など)も異なっているからだ。

土地の評価方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあり、路線価や倍率は毎年7月ごろに国税庁が発表する。路線価方式とはその土地(主に宅地)が面している道路に付された標準価格(路線価)を基準に評価する方法で、これに奥行き・形状・間口など、その土地の価格に影響を与える条件を考慮して最終的な評価額を算出する。

もうひとつの倍率方式とは路線価が付されていない土地(主に農地)の評価方法で、その土地の固定資産税の評価額に国税庁が公表している倍率表の倍率をかけて評価する。この方式による土地の評価額は、それぞれの土地の形状や状態などを考慮して定められており、路線価方式のような複雑な計算は必要がない。

筆者が母から相続したのはほとんど不動産(土地と建物)だけで、土地は宅地と農地(主に田)である。宅地は家を建てる土地という意味で単純であるが、農地はその場所に応じていくつかの種類に分けられ、少し複雑である。

4つに区分される農地

農地は市街地農地、市街地周辺農地、純農地、中間農地の4つに区分される。市街地農地とは市街化区域内にあり、すでに宅地転用が許可済みの農地。その相続評価額は「(宅地とした場合の評価額-宅地造成費)×面積」となり、宅地とほぼ同じである。市街地周辺農地とは宅地転用が許可される地域の農地であるが、まだ許可を受けていない土地で、評価額は「市街地農地の評価額×0.8」となる。

これに対し、純農地とは宅地転用ができない農地。中間農地とは一定の条件の下で例外的に宅地転用が許可される農地で、この2つの農地の評価額は「固定資産税の評価額×倍率表に記載されている倍率」となる。

都市計画図で農地の種類を判断

それならば、相続する農地がこの4つのどの種類に該当するのかを知るにはどうすればよいのか。もっとも簡単な方法はその地域の市役所の建設課に行って、「都市計画図」を見せてもらうことである。もっと詳しく調べたいのであれば購入してもよいし、またインターネットでも見ることができる。

筆者が相続した農地は緑色で表された「第一種中高層住居専用地域」に位置していたため、市街地周辺農地であることが分かった。したがって単なる田んぼでありながら、その相続評価額は宅地=市街地農地よりも2割しか安くならなかった。もっとも、それらの田は道路に面していない無道路の農地であったことから、実際の評価額はかなり低かった。

次回へ続く

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