相続登記をすれば相続手続きはすべて終了

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相続登記とは不動産の相続人への名義変更

相続登記とは、亡くなった人の名義になっている土地・建物などの不動産を相続人の名義に変更することである。司法書士などにこの手続きを依頼すると、5~10万円の費用がかかるといわれる(必要書類の取得費用などは別料金)。

しかし、法務局には相談コーナーが設けられており、そこでは専門家がいろいろと教えてくれるので、それほど難しい作業ではない。筆者は自分ですべての相続手続きを行ってきたが、それに比べればこの作業はかなりシンプルなものに思われた。相続登記の大きな流れは、次のようになっている。

相続登記の手順

  1. 相続登記に必要な「登記申請書」を作成し、土地については所在地・地番・地目・地積・固定資産税額、建物については所在地・家屋番号・種類・構造・床面積・固定資産税額を記入する。
  2. 登記申請書とその他の必要書類(戸籍謄本など)に加え、「相続関係説明書」も作成し、法務局(登記所)に行ってそれらの書類を提出して相続登記の申請をする(法務局とは相続登記などを管轄している法務省の地方支分部局)。
  3. 文字ひとつ間違っても法務局から連絡があり、修正した書類を再提出することになるので注意が必要である。
  4. 相続登記が完了すると「登記識別情報(昔の権利証)」が手渡され、それと合わせて「登記事項証明書(登記簿謄本)」を発行してもらい、相続手続きがすべて終了する。
  5. 相続登記の費用は必要書類の取得費と「登録免許税」という税金である。その税金の金額は「固定資産税額×1000分の4(0.4%)」で、土地と建物には別々にこの税金がかかる。

所有者不明土地が大きな社会問題に

ところで、相続登記に関連して、最近では「所有者不明土地」が大きな社会問題になっている。こうした土地とは、所有者が誰であるのか分からない、所有者が分かっても連絡が取れない-などの土地。

こうした土地が発生する大きな原因は「相続の未登記」で、相続人が決まらずそのまま放置されたり、相続人が決まってもその人が名義を変更しない-など、さまざまな原因がある。日本では相続などで土地を取得しても、その所有者が登記をするかどうかは自由であり、相続登記は義務づけられていない。

しかし、2021年4月の参議院本会議で相続登記の義務化が決まった。これにより、2024年から不動産の相続登記が義務づけられる。相続によって不動産を取得した人は、それから3年以内に登記を終了しなければならない。

2040年には所有者不明土地が北海道の面積にまで拡大

2016年の地積調査によると、日本の所有者不明土地は土地全体の約20%にも達し、その面積は九州本島を上回る約410万ヘクタール。このまま何の対策も講じないと、2040年には北海道の面積に相当する約780万ヘクタールに達すると予想されている。

そのマイナスの影響には次のようなものがある。

  1. 土地が利用できないことによる機会の損失
  2. 所有者の同意を取りつけるまでのコストの増大
  3. 積み上がる税の滞納額

その結果、所有者不明土地による経済的損失は約6兆円に達すると推計されている。先に述べたように、この問題に対する法整備の動きがようやくスタートしたが、毎年増加の一途をたどる所有者不明土地は単に相続の未登記という問題だけにとどまらず、日本の存亡にもかかわる大問題だといえるだろう。

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