バブル崩壊前の証券会社のアリエナイ話

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固定手数料の時代

私は40年以上にわたり株の世界に身を置いてきましたが、2000年をはさんでそれ以前と以後では株を取り巻く環境が一変しました。そのことについて少し記したいと思います。

投資家が証券会社に支払う株式売買手数料は1999年10月に完全に自由化されましたが、それ以前の固定手数料の時代は証券会社にとって本当にわが世の春とも言えるときでした。

株を買う方法は2つだけ

株を売買するには証券会社を通すしかなく、株を買う方法は次の2つしかありませんでした。

  1. 証券会社に取引口座がないときは、店頭に出向いて買い注文を出し、取引が成立したあとに現金決済する。
  2. 取引口座があるときは、その証券会社に電話して注文を出す。

今のネット取引では注文内容を間違えることはほとんどありませんが、当時は電話注文をするときに、「買う銘柄、株数、値段」をメモ用紙に記してきっちりと確認したものです。

注文執行を忘れた店長

でも、こんなこともありました。会津のある証券会社に買い注文を出し、あとで確認・決済のために店頭に行ったとき、店長いわく。

「Sさん、ごめーん。バタバタして忙しかったんで、注文出すの忘れちゃった。明日の朝一(寄り付きのこと)で出しておく?」
「……」

高かった株式売買手数料

当時の株式売買手数料も高かったですね。例えば、今日100万円である株を買ったあと、値下がりしたので翌日に売却すると、往復の手数料は約2.5万円。金額が500万円だと10万円近くになりました。

私は基本的に短期売買だったので、証券会社の男どもとおねーさんたちにはいっぱいくれてやりました。当時の週刊誌によると、業界別の美人数ランキングでは、大手証券会社がいつもトップ(私が取引していたのは中小証券会社だったので、美人はあまりいなかった)。

ハッピーなおねーさん

また、こんな話も。新入社員として大手証券会社に入社した若いおねーちゃんの夏のボーナスは、机に立ったそうです。そして家に帰り、お父さんのボーナス額を聞いて、こうのたまわったそうです。

「えーっ、お父さんのボーナス、そんなもん。私のほうがいっぱい稼げるんだ」

わが世の春も終わる

こんなムカつく時代も1990年のバブル崩壊で吹っ飛び、それから30年も暗い時代が続くのでした(まだまだ続くぞ)。そして2000年に入りネット証券が続々と登場すると、株式売買手数料はそれまでの7~8分の1に急落。さらに、これからAIが急速に普及すると、証券会社がさらに苦しくなるのは間違いない、と思う。

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