とても怖い連帯保証人

joint-guarantor 相続

2つの保証人の違い

もしもあなたが親しい友人や親せきの人から、「100万円の借金の保証人になってくれないか」と頼まれたらどうするだろうか。引き受けるか、断るか、悩むところであるが、それでは保証人とはなんなのだろうか。

簡単に言うと、保証人というのは実際にお金を借りた本人でもないのに、お金を借りた人と同じ責任を負う人といえる。金銭がからんだ場合の保証人とは、ほぼすべてが連帯保証人である。

借金の100万円を自由に使うこともできず、借りた本人が返済できないときだけ肩代わりを強いられる。このように保証人になるということにはなんのメリットもなく、デメリットだけしかない。

逆にお金を貸す側にすれば、保証人の数が多いほど回収できる確率が高くなるので、やはりできるだけ多くの保証人がほしいところである。

それでは、ただの保証人と連帯保証人はどのように違うのか。単純な保証人には次のような3つの権利が認められている。

まずは「催告の抗弁権(さいこくのこうべんけん)」であるが、これは債務者本人が返済できず、自分に返済の請求が来たときに、先に債務者本人に請求してくださいといえる権利である。

次の「検索(けんさく)の抗弁権」とは、債務者に返済能力があるのに自分に返済の請求が来たとき、まず債務者の財産を処分して対処してくださいと主張し、その請求を断ることができる権利。

三番目の「分別(ふんべつ)の利益」とは、返済できなくなった債務者の残債を保証人全員で均等に分別できること。たとえば、債務者の借金が600万円で保証人が3人いる場合、保証人1人当たりの返済額は200万円となる。

恐ろしい連帯保証人

これに対して、連帯保証人とは返済義務という点では債務者本人とまったく同じ立場にあり、また分別の利益もないため、600万円の債務をすべて背負わなければならない。

さらに債権者が債務者本人をとばしていきなり連帯保証人に債務の返済を請求しても、連帯保証人はその責任から逃れることはできない。このように債権者は債務者本人または連帯保証人のどちらにも自由に返済を請求できる。

たとえば、銀行などが本人に返済能力がなくても優良な連帯保証人を立てれば、お金のない人にも多額の融資をするのもこうした理由による。さらに複数の連帯保証人が名を連ねているような場合、債権者は自らの自由な判断で一番取りやすい連帯保証人に対して債務の全額を請求することもできる。

一方、連帯保証人のケースでとりわけ恐ろしいのが、財産や借金と同じように連帯保証債務も相続されることである。というのも、この種の債務は単なる借金と違って気づくのが難しいからである。

たとえば、父親が他人の連帯保証人になったまま死亡した場合、その連帯保証債務は相続人である母親や子供たちに法定相続割合に応じて相続される。

具体例を挙げると、配偶者と子ども2人をもつ父親が1000万円の財産と2000万円の連帯保証債務を残して死亡した場合、配偶者が相続するのはそれぞれの1/2である500万円の財産と1000万円の連帯保証債務。そして2人の子どもたちは1/4の250万円の財産と500万円の連帯保証債務を相続する。

被相続人(死亡した父親)のこうした隠れ債務を相続するという事態を避けるには、被相続人が死亡したらプラスとマイナスの遺産を速やかに調べ、不利な相続であることが判明したら、相続の開始から3ヵ月の期限内に相続放棄の手続きをすべきである。

クレジットカードの保証人とは

ところで少し話はそれるが、友人などから「クレジットカードを作りたいので保証人になってほしい」と頼まれたらどうしたらよいのか。答えは、クレジットカードの審査・発行に際しては保証人を立てる必要はないので、そうした依頼の裏にはなんらかの他意があると考えたほうがよい。クレジットカードは申込者本人の信用に基づいて発行されるもので、保証人の有無によって審査結果が変わるようなことはない。

ただし、未成年者(高校生を除く18歳以下の人)の場合は、親権者の同意を得られることが申し込みの条件となる。もっとも、親権者はあくまでクレジットカードの申し込みに同意するだけであり、保証人になっているわけではない。したがって、利用者の返済が滞ったとしても親権者がその債務を返済する義務はない。

いずれにせよ、こうしたクレジットカードや身元保証などの保証人は別して、お金の貸し借りに関する保証人はほとんどが連帯保証人である。したがって、将来の悲劇を避けるためにもそうした保証人には絶対になってはならない。

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