優遇的な特例をうまく活用して相続税を安くしよう

preferential-special-provisions-of-inheritance-tax 相続

遺産総額が基礎控除以下のときは相続税はかからない

相続税の基礎控除は2015年1月から、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」となったが、基本的に相続財産がこの金額以下であれば、相続税の申告は不要である。

より具体的に説明すると、相続税額は(預貯金や不動産などの遺産総額)から、(借金などの債務+葬式費用など+基礎控除額)を差し引き、残った金額に相続税率をかけて算出する。逆に言うと、遺産総額が基礎控除額よりも少なければ、申告する必要もなく、相続税もかからない。

ただし、いくつかの特例を使って相続税がゼロになったときは、相続税の申告が必要となる。つまり、もともとは遺産総額が基礎控除を上回っていて相続税が発生するが、特例を利用することで相続税がかからなくなる場合は、相続税の申告が義務づけられる。

代表的な小規模宅地等の特例

そうした特例の代表が「小規模宅地等の特例」で、被相続人(亡くなった人)が居住していた宅地の評価を80%減額できる制度。例えば、相続税率が同じ10%だとした場合、評価額が1000万円の宅地の相続税は100万円であるが、この特例を使って80%減額されると、「200万円×10%=20万円」とかなり安くなる。

ただし、この特例が適用できるのは宅地の330㎡(約100坪)まで。さらに、この特例を受けるには相続税の申告をすることが条件となる。この特例を使ったわが家の土地の具体例を示しておこう。

わが家の小規模宅地等の特例のケース

自宅がある土地の地積は約428㎡(130坪)、相続税の申告をしたとき(2016年)の路線価は1㎡当たり1.7万円だったので、この土地の相続評価額は単純計算で「1.7万円×428㎡=727.6万円」。しかし、この特例を使えば330㎡(100坪)の分は80%減額になるので、「1.7万円×330㎡×0.2=112.2万円」。残りの土地(428-330=98㎡)の評価額は、「1.7万円×98㎡=166.6万円」。

その結果、自宅のあるこの土地の評価額は、「112.2万円+166.6万円=278.8万円」。このようにこの特例を使えば、自宅の土地の評価額は本来の評価額よりも450万円近く安くなった(727.6万円-278.8万円=448.8万円)。

配偶者の税額軽減の特例を使えば相続税はゼロ

小規模宅地等の特例と並んで、相続税を大きく左右するのが「配偶者の税額軽減」の特例。これは夫婦のどちらかが亡くなり、その財産を残った配偶者が相続するとき、1億6000万円または配偶者の法定相続分(その金額がどれほど多くてもかまわない)のどちらか大きいほうまでであれば、相続税はかからないという制度である。

この特例の目的はとりわけ妻の内助の功を認めるということのほか、その老後を保障することにある。もっとも、その後に発生する親から子への二次相続ではこうした優遇措置はなく、それなりの相続税をしっかりとられるので、その覚悟が必要である。そして小規模宅地の特例と同様に、この特例を使えば相続税額がゼロになる場合でも、相続税の申告は必須要件である。

筆者の今回の相続は母から子への遺産相続(いわゆる二次相続)だったので、この特例はまったく関係がなかった。以上のように、相続にはこうしたいくつかの優遇的な特例があるので、それらをうまく活用してして少しでも相続税を安くする工夫が必要である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました