わが家が経験した相続放棄の手続き

procedure-of-waiver-of-inheritance 相続

相続放棄とはすべての遺産を相続しないこと

相続放棄とは、一言でいうと「亡くなった人の遺産すべてを相続しない」こと。相続財産には預貯金や価値ある不動産などのプラスの財産のほか、借金やローンなどのマイナスの財産もある。相続放棄をするということは、これらプラスとマイナスのすべての遺産を相続しないということである。

相続放棄の実際の手続き

相続放棄の手続きの流れは、大ざっぱに次のようになっている(以下の書類は原則として、相続を放棄する人本人が記入・作成する)。

  1. 相続放棄申述書(しんじゅつしょ)に必要事項を記入し、捺印する。
  2. 家庭裁判所に同陳述書と関係者の戸籍謄本などの必要書類を提出する。
  3. 後日、家庭裁判所から「照会書」という書類が送られてくるので、そこに記されている質問に対する回答を記入し、家庭裁判所へ郵便で返送する。
  4. それから1週間から10日後に、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送られてくる。

相続放棄の手続きに関する補足説明

以上が相続放棄の手続きの大きな流れであるが、これらの各手続きについて、少し説明を加えておく。

(1.)について。
相続放棄申述書は家庭裁判所のホームページからダウンロードできる。まれにその書き方を間違えると相続放棄が受理されないこともあるので、慎重に記入すること。
(2.)について。
この場合の家庭裁判所とは、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所で、そこに直接出向くか、または郵送で書類を提出してもよい。一方、財産の内容を証明する書類などは必要なく、申述書に簡単な財産金額を書くだけでよい。
(3.)について。
この「照会書」とは裁判官からの質問状で、「相続放棄は自らの意思によるものか、なぜ相続を放棄したいのか、相続財産について知っているか…」などの質問が記載されている。これらの質問には正直に回答し、家庭裁判所へ郵便で返送する。
(4.)について。
「相続放棄申述受理通知書」とは、この相続放棄にはなんら問題はなく、相続放棄を認めるという通知書。

家庭裁判所に相続放棄申述書などの書類を提出してから同受理通知書が届くまでは、特に書類に問題がない場合で通常は1~2か月。しかし、仙台在住の姉からいろいろな必要書類を送ってもらい、それらを家庭裁判所に送付するなど、実際に自分で手続き代行をしてみると、それなりの手間と時間がかかり、3か月の熟慮期間がそれほど余裕のあるものではないことがよく分かる。

相続放棄の手続きを専門家に依頼すると

相続放棄の手続きは司法書士や弁護士に依頼することもできるが、その費用は司法書士が3~5万円、弁護士が5~10万円程度といわれる。なぜ弁護士の費用のほうが高いのかというと、弁護士は相続放棄の完全な代理権を持つので、弁護士名で書類を申述・作成し、その返送先も弁護士事務所になっているなど、依頼者は手続きのすべてを弁護士に一任できる。これに対し、司法書士ができるのは書類作成の代行だけで、すべての書類に相続放棄人本人の署名・捺印が必要であるなど、申述手続きは相続放棄をする人の申し立て扱いになるからだ。

今回の姉の相続放棄については、家庭裁判所への書類の郵送・提出などの作業を筆者が代行したので、こうした費用はまったくかからなかった。なお、家庭裁判所に相続放棄を申し出て認められると、たとえ3か月の熟慮期間内であっても撤回することはできないので注意が必要である。

次回へ続く

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