相続に詳しい税理士はほんの一握り

realities-of-tax-accountant-concerning-inheritance 相続

税理士の本当の現実とは

相続が発生すると「それでは税理士先生にお願いするか」というのが、現在の一般的な常識になっている。しかし、広く受け入れられているこうした常識は、はたして本当に理にかなっているのだろうか。こうした疑念を抱いてインターネットなどで調べてみると、税理士の驚くべき現実が見えてくる。

相続が発生して税理士に相談するとき、「どの税理士に頼んでも同じだろう」と考えてはならない。実際は10人の税理士がいれば、10人とも違う相続税額を出してくるといわれる。

相続税の申告に不慣れな税理士の場合、税務調査に入られるリスクを避けるため、安全で保守的な評価をしたり、またいろいろな特例を見逃したりすることで、実際の税額よりも相続税が多額になることはよくある。適正な相続税額よりも多い税金を支払ったとしても、税務署はけっして教えてはくれず、現実にはむしろ歓迎されるのかもしれない。

税理士の専門分野はすべて違う

このように、税理士は税金の専門家ではあるが、あらゆる分野の税金に詳しいわけではない。税金には会社にかかる法人税や自営業者が支払う所得税などさまざまな種類があり、税理士の専門分野もまったく異なっている。

これは病気の専門家である医者が外科、内科、整形外科、眼科など、さまざまな専門分野に分かれているのとまったく同じ。その大きな理由として、税理士試験では相続税が必須科目ではなく、相続税以外の科目を選択して資格を取った税理士も少なくないという現実がある。

税務署が目を光らせる過去の預金通帳

いろいろな税金のなかで、相続税は特に税務調査に入られる可能性が高いといわれ、財産の漏れが発見されると追徴税などのペナルティが課される。例えば、税務署に入念に確認されるもののひとつが被相続人(亡くなった人)の過去の預金通帳。

銀行には過去10年分の口座データが残っており、家族間で現金のやり取りが行われていないかなどを確認するため、税務署は必ず被相続人のすべての預金通帳をチェックする。相続税の申告書類の作成を依頼したのに、過去の預金通帳の提出を求めてこない税理士は、相続税にはあまり詳しくないと考えて間違いない。

筆者もこれまでは相続税の申告書類の作成=税理士の仕事という思い込みがあり、市内の税理士に直接相談に訪れたり、会津中心街の税理士に電話をかけていろいろと尋ねたものだ。その結果分かったことは、まともに相続税の申告ができそうな税理士はひとりもいないということ。

郡山や関東の専門税理士にお願いするという方法もあったが、やはり彼らの実際のレベルは分からないし、それに現地調査などの出張費がかなりの金額に上ることは容易に予想された。

税理士に支払うお金は作業量で決まる

税理士に相続税の書類作成を依頼したとき、その基本報酬は遺産総額の0.5~1%といわれる。遺産総額が1億円だったとすると、税理士に支払う報酬は50~100万円。しかし、現実にはそれでは収まることはないようだ。

相続人の数が多かったり、または相続の対象となる土地が複雑多岐にわたれば(わが家のケースがまさにこれ)、税理士の作業量や確認作業も増えるので、かなりの追加料金が発生するのは容易に想像できた。こうした料金がどんどんかさんでいけば、税理士への報酬+相続税は何百万円にもなり、はたして実際に支払えるのかと悩んだものだ。

私はいずれ直面するであろう相続の基本ぐらいは知っておこうと何年も前から専門書などを読んでいたので、相続については多少の知識はあり、もう腹をくくるしかなかった。そう、税務署の専門家の助けを借りて、自力で相続税の申告をやるしかないということだった。

次回へ続く

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