奨学金を利用するときのポイント

scholarship-of-Japan-is-student-loan 社会問題

大学生の約半数が奨学金を受給

最近では新規の感染者は減少しているが、現在のコロナ禍が完全に収束するのかはいまだに不透明であり、むしろ専門家の間では第6波が来る懸念も高まっている。そうした状況下で大学の構内にも行けず、オンライン授業を余儀なくされている大学生は大きなフラストレーションを抱えている。そして飲食店や居酒屋でのアルバイトもほとんどなくなった今、経済的な困窮が奨学金を受給している大学生に心身両面で大きな打撃を与えている。

日本学生支援機構(JASSO)の2020年度のデータによれば、奨学金の受給者は昼間部の大学生で47.5%、大学院修士課程で48%、博士課程で53.5%。今や大学に進学する学生のほぼ半数がJASSOの奨学金を利用している。

それではJASSOの奨学金(無利子の第一種、有利子の第二種)を受給するときは、どんなことに気をつければよいのだろうか。最長20年にもわたる返済期間と毎月の返済額を考えて無理のない受給額を決め、次に「人的保証」か「機関保証」のいずれかを選択しなければならない。

奨学金の人的保証とは

奨学金の人的保証とは連帯保証人(原則として父母)と保証人(65歳以下のおじ・おば・兄弟姉妹など)を各1人ずつ選任するもので、学生本人が借りた奨学金を返済できなかった場合、連帯保証人が残りの全額を返済しなければならない。しかし、連帯保証人が返済できないときは保証人がその返済の肩代わりをする。

ただの保証人が連帯保証人と決定的に異なるのは、保証人には「催告(さいこく)の抗弁権(こうべんけん)」「検索(けんさく)の抗弁権」「分別(ふんべつ)の利益」という3つの権利が認められていること。

催告の抗弁権とは、まず主債務者である学生本人に返済を請求してくださいと主張できること。検索の抗弁権とは、学生本人には返済能力があるのでそちらに請求してくださいと、その債務の返済を拒否すること。そして最も重要な分別の利益とは、保証人が複数いるときは学生本人の債務を保証人の数で割った分だけを返済すればよいというもの。奨学金では連帯保証人と保証人という2人の保証人がいるため、この分別の利益に照らせば、保証人に返済義務があるのは債務の1/2だけとなる。

これに対し、連帯保証人には保証人に認められているこれら3つの権利が認められておらず、債務者とまったく同じ立場にある。そのため、奨学金の返済を求められたときは、利息や延滞金を含めて請求どおりに全額を返済する義務がある。

奨学金の機関保証とは

一方、機関保証とは毎月給付される奨学金のなかから一定の保証料を支払って、保証機関に連帯保証してもらう制度。学生本人が奨学金の返済を延滞したときは、保証機関が残額を一括返済してくれる。とはいえ、債務そのものが消えるわけではなく、その後は保証機関から返済を求められる。

また機関保証を利用すれば、当然のことに保証料の負担が発生する。2020年のデータによれば、有利子の第二種奨学金を毎月6万円・4年間借りた場合、毎月の保証料は約2700円、4年間のトータルでは約13万円となる。このように機関保証の場合、奨学金で借りたお金から保証料が差し引かれるため、実際に受け取る受給額は少なくなってしまう。

人的保証よりは機関保証のほうがベター?

それならば、人的保証と機関保証のどちらを選択したほうが有利なのだろうか。いちがいにどちらのほうがよいとは決められないが、最長20年という長い返済期間と、奨学金の返済が滞ったときの連帯保証人や保証人とのトラブルの可能性などを考えると、相応の負担はあるにしても、人的保証よりは機関保証のほうが気持ちとしては楽なのではないだろうか。いずれにせよ、どのような借金にも必ず保証人という厄介な問題がからんでくるので、奨学金を利用するときにもこの問題からは絶対に目をそらしてはならない。

次回へ続く

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